今、求められる社会人基礎力

 

サントリー株式会社
サンゴリアス 監督 清宮 克幸  株式会社リンクアンドモチベーション小笹 芳央 情熱をもってベクトルを一つにすれば、結果はついてくる

第六回のゲストは、サントリー(株) サンゴリアス 監督の清宮克幸氏。早稲田大学ラグビー蹴球部監督時代は、数々の伝説をつくり上げ、早稲田ラグビー復活の原動力となる。スポーツにみる人材育成について、(株)リンクアンドモチベーションの小笹芳央氏が迫る。

 

ラグビーとの出合いで自主性とチーム作りを学んだ

小笹:これから就職をする学生さんに向けて、「社会人基礎力」を身につけるためにはどうすればいいか、というテーマでお話を伺っていきたいと思います。 これまでの人生のなかでいくつかのステージがあったと思いますが、清宮さんはどのようなお子さんでしたか?

清宮:小・中学時代は一言で言えば番長。番長といっても弱いものいじめはしない。むしろ、いじめがあったらそれをやめさせるような、自分なりの哲学がありました。

小笹:昔は、子供の世界にも絶対的な統制や秩序がありましたね。ところで、ラグビーを始めたのは、いつからですか?

清宮:中学時代に先生から勧められたのがきっかけでした。ラグビーに出合ったことで、高校時代は、有り余るエネルギーをすべてラグビーに向けて打ち込みました。監督は生徒たちの自主性に任せるというコーチングだったので、高校2年でキャプテンとしてチーム運営を任され、大阪の国体代表選手に選出され、3年では日本代表になりました。一生懸命、努力してきたことに一つの結果を出せたという好循環が自信へとつながった時代ですね。

小笹:大学は早稲田に進学されていますが、そこでの自分自身の成長や変化はありましたか?

清宮:チームで戦うことと、熱さや情熱を学びました。これは普通の生活をしていれば触れることのない世界かもしれません。人前で平気で泣ける、仲間のためなら死ねると思えたのは、やはり極限の状態で戦ってきたからこそ感じられたことだと思いますね。

 

ベクトルを一つにすることが強いチーム作りには欠かせない

小笹:そしてサントリーへ入社されるわけですが、営業畑に飛び込んでみて、スポーツの世界で学んだことが活かされたという経験はありましたか?

清宮:スーパーやディスカウントストアなど広域量販店を担当していたので、どうすればうちの商品を置いてもらえるか、ライバル会社に勝てるかということを考えていました。そういう意味では、思考はつねにスポーツをやっている時と同じでした。入社前、周囲からは「感情の起伏が激しい」「無口」「いつも怒っている」なんて酷評されていましたが、営業を10年やって、人前で話すことが得意になったし、コミュニケーションスキルが身に付きました。おそらく仕事をせずにプレイヤー、コーチだけの道を進んでいたら、決して今のスキルは身についていないですね。

小笹:人との関係を構築していく力を実践によって学んだということでしょうね。サントリーのラグビー部時代には、どんな経験をされましたか?

清宮:入社3年目の時、チーム運営に不満をもっていて、立候補してキャプテンになったことがありました。しかし、結果は惨澹たるものでベスト16にも入らなかった。3年間やって結果を残せなかったのは、リーダーである僕自身が原因ということは明らかでした。

小笹:そして、翌年、土田さんが来て、チャンピオンに返り咲いた。何が一番違ったと思いますか?

清宮:強力なリーダーシップですね。ベクトルを一つにしたことが、チームの結束力につながったんだと思います。細かいことを気にせず、とにかく一つの強みを貫こう!という気持ちをチーム全体で共有できたことが大きな違いでした。チームワークで前に立ちはだかる壁を乗り越える、この経験は後の早大監督時代に再現することが出来ました。

 

失敗を恐れず経験を積むことが自分を成長させ強くさせる

小笹:いよいよ2001年から5年間にわたって、あの伝説の早稲田時代を築いていくことになるわけですが、リーダーシップをとる中でこだわってきたことは?

清宮:これまで実践で学んできたすべてを出して、選手にも与えていったことが、結果として、究極の勝利「ULTIMATE CRUSH」を実現出来たのだと思います。誰よりも勝ちたいと思える集団であることが、思ってもみない結果を生み出しました。

小笹:清宮さんは、言葉を非常に大切にされていますね。言葉は、言霊というくらいで、集団を束ねていく時に強い求心力にもなります。ビジネスでも同じことが言えますね。ところで、最近の若者たちについて感じていることは?

清宮:今、そこにいるから出来ること、それを尊く思い、楽しむという気持ちがすごく少ない。もったいないな、と思いますね。今ある環境の中からチャンスを積極的につかんでほしい。例えば、プロジェクトを立ち上げて、それを遂行する過程で様々な経験をしていってほしい。そうすれば失敗から学ぶことで、自分自身が強くなれるはずです。

小笹:失敗を恐れるあまり、二の足を踏んでしまう。ラグビーをやっていた時、なんて理不尽なスポーツだろう、ボールがどっちに転がるかわからない(笑)と思っていました。しかし、一度腹をくくってやれば、未来が見えてくるし、拓けていくもの。

清宮:その通り。今年は、強いチームづくりのために、一つひとつの局面でたくさんの選択肢をもって、目の前の状況を変えていくということを実践しています。

小笹:就職活動も同じ。そこで、次々と結果を迫られる選択肢に答えを出すのは自分自身。常に自己選択がつきまとう。その繰り返しによって未来を切り拓いていってほしいですね。

 

プロフィール
サントリー株式会社
サンゴリアス 監督 清宮 克幸 氏
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  • サンゴリアス 監督
  • 清宮 克幸

1967年生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、サントリー(株)入社。ラグビー部の主将を務めるなど中心選手として活躍。2001年に引退後、早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任。5年連続で関東大学対抗戦に優勝、大学選手権でも3度制覇。2006年より現職。

株式会社リンクアンドモチベーション 代表取締役 小笹 芳央 氏
  • 株式会社リンクアンドモチベーション
  • 代表取締役社長
  • 小笹 芳央

1961年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、(株)リクルート入社。組織人事コンサルティング室長、ワークス研究所主幹研究員。2000年(株)リンクアンドモチベーション設立。同社代表取締役社長。

社会人基礎力とは?

社会人基礎力とは「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」といった、私たちが職場や地域社会で働く上で必要な力のことをいいます。IT化やサービス経済化等が進む中、こうした力はますます重視されてきています。

 

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