今、求められる社会人基礎力

 

支えることの大切さ、支えられることの有り難さ

「共に育み合い、そして共に育て合う」昨年、“共育宣言”を掲げた、資生堂。即戦力が求められる時代に、あえて教育に力点を置き、積極的にかつ長期的視点で人材育成に取り組んでいる。人事部で採用から研修までのキャリア形成をフォローする深澤晶久氏にお話を伺った。

 

入社1年目、最初の一歩が大事

新卒の学生向け説明会から社内研修まで、一手に引き受ける深澤氏。社員たちの成長する場に立ち会えることに、やりがいと誇りを持っている。

「学生から社会人になるまでのプロセスを、一つの線で捉えています。せっかく選んだ会社を簡単に辞めたりしないように、社員、一人一人に目を配っています。周りから、優しすぎるとたまに言われますが(笑)。入社して1年間が、最も重要な時期。入社3年程度で転職してしまう若者が増えていますが、たった3年では仕事のおもしろさや成果を実感することは難しいと思います。たとえ転職をしたとしても、同じことの繰り返しになってしまいます。新入社員たちが少しずつでも仕事の楽しさを味わい、うまく歩き出してくれることを願っています」

資生堂では、入社してから毎年のように研修が用意されている。一方、管理職にも積極的に研修を行い、“人に優しい会社”として人材育成を通じ社内風土醸成に努めている。

「キャリアとは、自ら切り拓いていくもの。自分自身で人生を作り上げることが必要です。指示を待つのではなく、主体的に行動して欲しいですね。最初はわからないことばかりかと思いますが、臆せず、積極的に周りに働きかけてください。いずれは“資生堂で資生堂を超える人材”に成長し、魅力ある人々となって組織を埋め尽くしてほしいです。皆さんの目の輝きが失せないよう、お互いに育て合う環境作りを目指しています」

 

失敗してもいい。やり遂げ感を持ってほしい

「学生時代は、興味のあることに打ち込める環境にあります。勉強だけでなく、部活やアルバイトでも何でもいいのです。目的意識を持ってやってきたかが重要です。たとえ失敗をしたとしても、その経験から何かを学び、その後に結び付けられればいいのです。社会人になれば、数々のハードルに直面するはずです。学生の時に何かをやり遂げていれば、入社して最初に出会ったハードルを比較的簡単に乗り越えられます。次にまた壁にぶつかったとしても、最初の経験から来る自信があるために耐えることができるのです」
 学生時代は、失敗を恐れず、好きなことに熱中できる時。「これだ!」と思えることに専念することが、社会人になってからの成長の鍵になると思います。

 

夢を持っている現実と夢のない現実は、全く違う

「私は、入社当時、営業をしていました。そして本社に異動した後も企画書を書くと、お得意先さまや事業所の方々が商品を販売してくれました。数字という結果が出ると、あたかも自分が達成したかのような錯覚に陥っていました。でも、周囲の人の助けがあったからこそ、生まれた結果だったのです。当時の私は大きな勘違いをしていました」

資生堂の企業理念は、単に商品を売るのではなく、お客様に美しくなっていただくこと。社員一人一人、お客様が美しくなることに感動し、自分自身も心豊かに美しくなるという大きな夢を抱いている。

「人は一人では生きていけません。友達、家族や兄弟、周りにいる人たちに対して感謝の心を忘れず、気を配ることを心がけてください。人の役に立って貢献できれば、結果として自分の成長につながります」

 

プロフィール
深澤 晶久
  • 株式会社資生堂
  • 人事部 次長
  • 人材育成グループ
  • グループリーダー
  • 深澤 晶久

1957年生まれ。1980年入社。7年間、営業として業績を伸ばした。その後、本社でのマーケティング業務、商品開発に携わった。労働組合の委員長を歴任し、周囲から多くの人望を集める温厚な人柄。3年前に人事部へ異動し、新入社員の採用から管理職の社内研修まで、幅広い人材育成に努めている。

社会人基礎力とは?

社会人基礎力とは「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」といった、私たちが職場や地域社会で働く上で必要な力のことをいいます。IT化やサービス経済化等が進む中、こうした力はますます重視されてきています。

「『共育』宣言」とは?

創業時から、資生堂は“書生堂”と呼ばれるほど教育に力を入れていた。しかし、一時、低迷した経済状況のために人材育成に力を入れることが出来ない時代があった。昨年、資生堂では改めて社員に対する“人材育成の考え方”を見直し、「共に育ち、育て合う環境を作る」という目標を掲げた。お互いに成長し、魅力ある人で組織を埋めつくしたい。この社長のビジョンが実現できたときに本当の意味でお客様の美しさに貢献できる企業に生まれ変われると信じている。

 

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