可能性ある君たちへ伝えたいプレミアメッセージ

 

北尾 吉孝 何のために働くのか? −学生時代、自らに問いかけ、学ぶべきこと

自由に勉強できる大学時代にこそ、先達の教えを学び、広く深く考えをめぐらせてみることが大切だ。この春に『何のために働くのか』を出版、幅広い読者層からの反響に大きな手応えを得る、SBIホールディングス代表取締役CEO 北尾吉孝氏にお話を伺った。

 

自分のために働くことを、“働く”とは言わない!?

近年、“働く”ということの根本にあるものが見えにくくなっている。そんな中で北尾吉孝氏が著した『何のために働くのか』は、当初、新入社員の人材育成に役立てようと筆を取ったものだった。

 「ところが昨今、新卒で入社した会社を2〜3年で辞めてしまう社員が少なくないという。定職に就かず、フリーターやニートと呼ばれる暮らしに身を転じる若者も増えている。こんな状況ではなおさら、若い人たちに、働くというのはどういうことなのか、そして、それが人生いかに生きるかとどうつながっているのかを、しっかり考えてもらわなくてはならない。そこで、今ではあまり論ずる人もいなくなってしまった人間学の観点から、日本人が古来もっていた精神文化や仕事観というものを記し、伝えていこうと思ったわけです」
 その仕事観を、実務経験のない大学生はどのように形成していけばよいのだろうか。
 「例えば、働くという言葉は、傍(はた)を楽にする、つまりまわりの人のために仕事することを意味している。また、仕事という言葉の『仕』も『事』も、昔から『つかえる』と読み、天に仕える、公に奉ずるということを表している。最初はそんなところから、働くということを漠然と意識するだけでも違うと思います」
 本書には、北尾氏が少年時代から親しんできた中国古典をはじめ、人間学の先達が残した言葉やエピソードが随所に引用されている。
 「今は浅い理解でいいんです。こういうことが書いてあったと記憶して、働くようになった時、あるいは何か仕事に行き詰まったような時に、また読み返してみる。そうやって理解を深めてもらえれば、非常にありがたいですね」

 

大学は広く自由な学びの場、今やるべきことを懸命に

学生の本分は勉強。北尾氏は、「勉強というのは本来、面白いもの。大学に入ったら、受験勉強を離れて好きな学問分野を大いに探求すべき」と語る。

 「大学での勉強を通じて、知識よりも、知恵や考え方を身につけてほしい。例えば『思考の三原則』。大局的見地からものを見る、多面的に考える、そして長期的視野に立つ。こういう思考方法が鍛えられる、いちばん大事な時期ですからね」
 さまざまな発想や方法論から生まれた知恵は、学部や専攻を問わず、社会に出てから役に立つ。
 「それともう一つ。この社会という人の集団の中で、いかに人間関係を円滑に営むかということも大切な勉強です。もちろんサークル活動やアルバイト経験から身についていく部分もあるかもしれないが、もっと大事なことは、学生時代にそれを人間学の勉強としてきちんと捉えることだと思います」
 北尾氏自身の大学生活は、まさに学生の本分に則ったものだったそうだ。
 「僕は非常に早くから、惜陰(せきいん)、時間を惜しむ気持ちというのが強かったですね。だから睡眠時間も短くして、できるだけ勉強したり、精神の糧になるような書物を読むようにしていました。ガリ勉というわけではないけれど、アルバイトは一度もしなかったし、サークルにも参加しなかった。今やるべきことがある以上、ほかのことに時間をあてるのはもったいないと思ったからです」
 この姿勢は、大学を卒業して野村證券に勤めてからも変わらなかった。
 「やはりその時その場での本分を全うするということが、自分の人生の中ではいちばんいい結果になるのではないかと思います。会社に入ってからは、与えられた仕事を次々と間断なく処理していった。困難な任務も天命と思って引き受け、一所懸命に取り組んで成果を上げてきました」

 

時間の大切さに気づけば、意識が変わり、人生が変わる

限られた時間を、いかに有効に使うか。これは、社員に対しても学生に対しても強く訴え続けたい、アドバイスのひとつである。

 「まだ若いから、寿命が長くあるんだから、今は好きなことを楽しめばいい。そんな考えでいると、時間はどんどんムダに過ぎてしまいます。皆さんに伝えたいのは、“人生二度なし”という、森信三さんの言葉です。一日一日、この一刹那一刹那が、まさに人生の縮図なんだという気持ちで、自分の人生いかに生くべきかを考えていかなければいけない。働くということを通じて自分を磨き、世のため人のために尽くし、本当の意味で生きがいを感じられるまでの時間を、どれだけ実り多きものにできるか。いわば、これからそういう真剣勝負が始まっていくわけですから、学生時代にその覚悟を決めるという意味での勉強が大事なんです」
 それにはまず、古典に触れること。古典には、時代や国境を超えて読まれ続けるだけの普遍性があり、人間の本質に最も深く関わるところが学べると北尾氏は言う。
 「強く推したいのは『論語』ですが、初心者にも読みやすいところでは、先述の森信三さんの師範学校での講義を記録した『修身教授録』を推薦します。表現は平易ですが、内容は非常に深い本です」
 最後に、学生たちへのメッセージを。
 「どんなことでも、目標を掲げた以上は、それをやり遂げようという気持ちの強さが結果を左右する。だから、自分を成長させよう、人格を高めようと思ったら、きちんと目標を立て、そこに向かっていく覚悟を決めることですね。すると自ずから、読む本も違ってくるし、会う人も違ってくるし、時間の使い方も違ってくる。そうなれば、おそらくこれまでになかった人生が開けていくのではないかと思います」

 

プロフィール

実業家 北尾 吉孝氏SBIホールディングス 株式会社
代表取締役執行役員CEO
北尾 吉孝

1951年生まれ。 1974年、慶應義塾大学経済学部卒業。同年、野村證券入社。1978年、英国ケンブリッジ大学経済学部卒業。 1995年、ソフトバンク入社。2005年のニッポン放送株問題では、ライブドアの企業買収に対抗するホワイトナイトとして注目を集め、時の人に。現在、SBIホールディングス代表取締役CEO。その他著書に、『中国古典からもらった「不思議な力」』『進化し続ける経営』『人物をつくる』など。

 

「専務 島耕作2」絶賛発売中「何のために働くのか」
致知出版社 (ISBN:978-4-88474-773-2)
1,575円(税込))

絶賛発売中!

 

LET'Sサイトトップ

可能性ある君たちへ伝えたいプレミアメッセージ

バックナンバー

活躍中の現役社会人直撃レポート!

バックナンバー2007

バックナンバー2006

今、求められる社会人基礎力

バックナンバー