可能性ある君たちへ伝えたいプレミアメッセージ

 

葛西 敬之 2ランク上の目標を立てること。途中で引き返さないこと。

大学卒業後、国鉄(日本国有鉄道)に入社し、その後、国鉄の分割民営化に尽力した、葛西敬之氏。
内部に身を置きながら組織を解体し、国鉄改革を主導した中心的人物に「働くこと」「生きること」について独自の価値観を語っていただいた。

 

入社1年目、退職を考えた

東京大学法学部に入学した葛西氏。60年安保闘争で学生運動が盛んだったが、冷ややかな目で傍観していたという。卒業後、奨学金を受けていた国鉄に入社した。
 「私が大学生だった当時、元内閣総理大臣の佐藤栄作さんなど、国鉄出身者が活躍していました。国鉄は昇進が早く、第2の人生へ展開がしやすいと言われていたのです。ところが入社してみると、国鉄の先輩たちはかつての栄光を反映して各方面で働いているだけで、公共事業体としては確実に衰退していました。その実態を目の当たりにして、入社して1年で辞めようと思いました」
 しかし、今辞めたら今までの努力が無駄になる。葛西氏は思い留まった。そして、公務員の留学制度を利用して、アメリカの大学院へ留学。帰国すると、国鉄では再建の動きが始まっていた。
 「周囲に言われて民営化をするより、主体性を持って進めるべきだと思いました。一生、国鉄に身を置こうと考えていなかったからこそ、改革ができたのだと思います。国鉄にずっといようと決意したのは、41歳。それまでは心の片隅でいつも辞めようと思いながら、仕事をしていました。希望する仕事があったのではなく、徐々に見えてくるようになったのです」

 

小さな成功体験を積み重ねる

「人生は思い通りにならないことが必ずあります。それでも、厳しい試練に耐えていくことも大切です。挫折の経験だけでは、何も役に立ちません。苦難を乗り越えて成功体験を多く積み重ねてこそ、意味があるのです。志を持って挑戦したことは、結論を出して決着をつけなくてはいけない」
 大学は4年間で終了する。このため、問題があっても先送りすることが可能だ。けれども就職となると、定年までの長い間、企業に所属し続けるかどうか、自分自身を納得させるのは難しい。
 「人にはそれぞれ解くべき課題があります。出題者として自ら問題を見つけ出し、受験生として解決する。能動的な側面と受動的な側面の両方を持っていないと、高い評価は得られません。まず、現状より一歩先の目標を持つこと。そして、達成するために毎日ベストを尽くすこと。これを積み重ねたところに、人生があると思います。悩むのは当然です。もし人生にはっきりとした明確なイメージを持っていたら、その人はむしろ軽率ですよ(笑)。地図のない道に挑戦して、自分でつくりだしていく心構えが必要です」

 

実学と人間学

「最近は資格の勉強など、“実学”に偏りすぎだと思います。もちろん、若い時に実学を学ぶことは重要ですが、年齢を重ねるにつれ、“人間学”が求められます。部下や社外の人との関わりが増え、相手が何を考えているのか理解することが必要になるのです。学生時代から、友人関係、恋愛関係などを通じて、相手を思いやる心を磨いてください。また、歴史や文学に触れることで、想像力が高まり、相手の気持ちを考えることができます」
 学生時代、葛西氏は友達と一緒に奈良のお寺へ行って万葉集を読むなど、積極的に人との関わりをつくったことが今でも影響しているという。
 「どれだけ良い友人を持つことができるか。若い時こそ、人に関心を持つことが大事です。人間同士の付き合いを進んで行い、“人間学”を体得してほしいです」

 

プロフィール

葛西 敬之氏東海旅客鉄道 株式会社
代表取締役会長
葛西 敬之

1940年東京都生まれ。1963年、東京大学法学部卒。卒業後、国鉄に入社。1987年、国鉄は6つの旅客会社と1つの貨物会社などに分割民営化され、この改革に尽力した。現在は、東海旅客鉄道株式会社 代表取締役会長を務める。

 

『国鉄改革の真実―宮廷革命」と「啓蒙運動」』(中央公論新社)『国鉄改革の真実―
「宮廷革命」と「啓蒙運動」』
(中央公論新社)

国鉄の分割民営化から20年を経た今、その改革の渦中に身を置き、強い信念を持って改革を主導した著者が、国鉄改革の全体像を「宮廷革命」と「啓蒙運動」という二つの側面から再現している。当事者しか知り得ない具体的なエピソードの数々からは、まさに「現場の体温と臨場感」が伝わってくる。また、分割民営化後20年間のJR東海の経営戦略とその足跡、そして今後の展望についても綴られている。

 

LET'Sサイトトップ

可能性ある君たちへ伝えたいプレミアメッセージ

バックナンバー

活躍中の現役社会人直撃レポート!

バックナンバー2007

バックナンバー2006

今、求められる社会人基礎力

バックナンバー