自分の社会的存在意義を確認できるのが“仕事”
“社会人になって働く”ことについて大学生が持つイメージはどんなものでしょうか。推測するに、社会の歯車に組み込まれ、忙しくて自由な時間もなく、辛いことが多い、という風ではないかと思います。僕自身、入社式の時に、“これで今後30年間は、好きなことに思う存分没頭するような時間はなくなる”と思いブルーな気持ちになったものです。確かに1日の殆どを仕事に費やし、週2日しか休みはなく、仕事は大変で辛いことも多いです。が、社会人となり会社や仕事に精通するにつれ、仕事が単に自分の生活費のためではなく、仕事の責任を果たす喜びや誰かの役に立てる満足感という、自己充実のための活動の1つであることがわかってきます。仕事の中にも興味を惹かれることややりたいこと等がいろいろ出てきて、そのために時間を使うことを惜しいとは思わなくなり、学生の時にあれほど執着した“自由な時間”も大きな意味を持たなくなります。それは何故か?たぶん、自分のやっていることが、外見的には“仕事”でも、中身は自分のやりたいことや求めるものだからです。年齢を経るごとに、気ままに好き勝手ができる自由よりも、社会の中で自分の存在意義を確認する充実感を求めるようになり、仕事をその1つの手段と考えるようになる。“働く”とは忙しくて辛いだけではなく、そんな面もあるのです。
会社組織でなければできない経験もある
そしてもう一つ。会社で働くということは、仕事を通じてさまざまな経験を積むということ。なかには個人の力では決して経験できない、会社組織で働くからこそできる経験も数多くあります。例えば、ANAは政府の要請を受けて過去に何度も紛争地域の在外邦人を救出するための航空機を出しています。中国・天安門事件や湾岸戦争、最近では北朝鮮の拉致被害者の帰国便がありました。こうした緊急要請の活動では会社の総力を挙げて、万全を期したオペレーションで臨みますが、その準備や調整で現場はフル回転。張りつめた空気の中で、各人が各人の持ち場で最善を尽くし日本中が注目する邦人救出の一端を担うわけです。
頻繁にあってはならないこうした活動で、社会に貢献する仕事に自分も関与していることを誇りに思い、それらの経験が自分の成長の糧にもなってきたと思います。
働くということは、朝早くから夜遅くまで大変なことも多いですが、仕事を通じたさまざまな経験から自分を磨くことでもあります。そう考えれば、社会人として働くということは、学生が思うほど“悪くない”ものなのです。
人事部 人材開発担当 主席部員
上野 進也氏
1990年入社。空港、営業、広報室を経て、 現在、人事部で採用・教育を担当。多くの学生に仕事の面白さやANAの企業風土を伝えることにやりがいを感じている。







